[「夜空の星は」(伊達主従+元親・ほのぼの)]
「はぁ〜〜、寒ぃなぁ〜〜」
白い息を吐きながら、星空を眺める元親は思わずそう言った。
「AA〜N?そりゃぁ冬の夜の寒空の下だから、当たり前じゃねえか」
元親の言葉に政宗はそう言うと、元親の見上げる夜空を同じように見上げた。
冬の澄み切った星空が目に映る。
政宗と元親は元親の船の甲板の上に居た。
船はゆっくりと西の海を進む。小十郎と数人のお供を連れた政宗は、西の様子を探るべく元親の船に乗り込んでいた。
「よぅ、陸よりも星がはっきり見えるだろ」
元親が政宗にそう言う。
「AA、そう言われりゃあそうか?」
政宗は上を向いたままの目を少しだけ細めてそう言った。
二人の見上げる夜空には、無数の星が瞬いていた。
「何時まで其処に居られるつもりですか?」
二人の背後から声がした。
二人が同時に振り返る。
「二人とも風邪をひいてしまいますぞ」
小十郎が、手に湯飲みを持って立っていた。
「あぁ?兄さん」
「HA、小十郎どうした、AN、なんだそいつは?」
小十郎の持つ湯飲みからは湯気が立っている。
「長い事外に居られますと、体が冷え切りますぞ」
そう言って、二人に湯飲みを差し出す。
差し出された湯飲みからは、甘い香りが湯気と共に二人の鼻をくすぐる。
元親がその香りに嬉しそうに顔を綻ばせた。
「こいつは?甘酒かぁ、はは、冷えた体には調度いい」
「HEY、小十郎気が利くじゃねえか」
小十郎から受け取った、甘酒を美味しそうに啜る二人に、呆れたように小十郎がぼやく。
「まったく、子供じゃねえんですから、手を焼かさんとって下さい」
すると、そんな小十郎に政宗が湯飲みを持つ手とは逆の手で空を指差して見せた。
小十郎はその指の指す空を見上げる。
政宗に促がされた小十郎の目に満点の星空が映った。
「ほう、これはまた・・星が綺麗に見えますな」
小十郎が感心したようにそう言う。
「そうだろ兄さん、海の上から見る星空はなかなかのもんだろぅ?」
元親は小十郎の言葉に嬉しそうにそう言うと、湯飲みを握った手をそのまま上に上げ、
そして湯飲みを握ったまま器用にある星に指を向けた。
元親が指差す先には、三つ並んだ星が綺麗に輝いている。
「なぁ、あの星今の俺等みたいじゃねえかぁ?」
突然元親はそう言う。政宗と小十郎はその星を見上げると顔を見合わせた。
「HEY、元親、どういう意味だ?」
政宗が意味がわからないといったふうに元親に訊く。
すると元親は、三つの星の周りを、円を描くように指しながら言った。
「あの三つの星がよぉ俺等三人で、あの周りの4つの星がこの船よ」
すると政宗がすかさず言った。
「AN?周りの星は船の形にゃ見えねえぞ」
「あぁ〜〜、硬ぇこと言うなよ政宗」
政宗の鋭い突っ込みに元親がしかめっ面をする。
するとそれを聞いていた小十郎が言った。
「ですが政宗様、船という形の概念に囚われなければよろしいのでは?」
「What?どうゆうことだ小十郎」
政宗の質問に元親も小十郎を見た。
「例えばです、船をただの乗り物の船と捉えず、人の集まり・そう我等の伊達軍などを船と例えることも出来ましょう。
さすれば伊達の軍の皆が船、そしてそれを束ねる政宗様が舵を握るものということになりましょう」
「はぁ〜、兄さんさすがだな、そいつはいい、確かに俺のところも俺が居るだけじゃ軍じゃねえ、
野郎共がいるから長曾我部軍があるんだ、はは、野郎共が船、そうだそのとおりだな、いいじゃねえかぁ」
「AA、確かにな、やつ等は俺達がやつ等を守ってるとか言ってくれるけどよ、本当は俺が奴等に守られてる、この船のようにな」
政宗と元親の言葉に小十郎は小さく微笑む。
目の前で甘酒を啜る二人の青年は、国を背負っているのだと改めて思う。
治める国は違えども、互いに慕う者たちへの思いは同じなのだと三人はそれぞれの心に刻んだ。
「まったく美しい夜空でございますな」
小十郎の言葉に政宗と元親はあらためて夜空を見上げる。
見上げる先に並んだ三つの星は、周りを囲んだ四つの星と無数の星に囲まれその瞬きを三人に送り続けるのであった。
「おっ流れ星!」
「元親、嫁に来い!」
「なんだそりゃぁ〜〜」
「HA、願い事だ!!」
「・・政宗様・・・」
-おしまい-
パインです。
最近寒くなるごとに夜空が澄んで綺麗ですね〜〜。
パインも仕事帰りの星空に癒されております(笑)
特に、オリオン座は直ぐに目に入るので、兄貴たちも船の上から星を眺めてこんな話とかしてたらいいなぁと思い書いてみました。
まあ、最後はダテチカで落ちていますがね(笑)
星空の下の三人は、カッコイイでしょうねえ〜〜。
パイン、涎が出ちゃう!(爆笑)
2010-12-19