四国の夏!
ミ〜ン・ジジジ・ミ〜ンミ〜ンミ〜ンミ〜ン
「暑い!!暑すぎるぜっっ、なんだこの暑さはよぉ、元親ぁぁぁ!!」
滝のような汗を流しながら政宗が元親に吠えた。
此処は四国、夏真っ盛りの長曾我部の領地、奥州伊達政宗は副将小十郎と共に3日ほど前から
元親の船でここ四国に訪れていた。
「なんだぁ、独眼龍、ここに着くまでは『四国の夏なんざぁたいしたことない』とほざいてたじゃねぇか。」
元親はそんな政宗を冷やかすように笑う。
こんな暑い夏にわざわざ、なぜ此処に来たのか?
それは、『一度南国の夏を体験してみたい!』などと政宗が我侭な一言を言ったからだ。
当然の如く、小十郎は渋っていたが、たまたま、奥州に船を寄せていた元親が、『じゃあ、俺の船に乗ってくか?』
などと言ったものだから意気揚々とやって来たのはいいが、四国に着く少し前からすでに奥州とは違う太陽の強烈な光に、
政宗はグロッキ〜になっていた。
「よぉ、政宗大丈夫か?」
元親がそんな政宗に声を掛ける。
「奥州と違ってこっちは日がきついからなぁ、それに何故だかはわからねえが、今日は何時もよりも余計に暑い気がするぜ。」
地元である元親も今日は特に暑く感じていた。
元親が政宗にそんなことを言っていると。
「アニキィィィィィ!!!大変ですぜっっっ!!!」
元親の手下が息を切らせながら駆け込んできた。
「どうした、野郎共!」
手下の尋常でない様子に元親が何事かと顔を引き締める。
「アニキっっ!毛利がっ毛利元就がっっっ!!!」
手下の言った名前に元親の顔が引きつる。
「なにぃ、毛利だとぉ!!」
そう言うや否や元親は外に飛び出した。
「わが名は サンデー毛利 日輪よこの地に光の加護を。」
飛び出した元親の目の前に、『太陽か?』と思うほどに光輝く毛利がどうやっているのかわらないが、中に浮いている。
「やめねえか毛利っっっ!!!!」
飛び出すと同時に元親はそう叫んでいた。
「長曾我部、なぜ止める?我はザビー様の命を受けてきただけ、ザビー様の愛として我日輪をありがたく受けよ。」
そう言うと毛利は日輪を高く掲げた。
「暑い、暑いですぜ、アニキ〜〜。」
元親の手下が次々と暑さに倒れていく。
「毛利やめねぇか、このくそ暑い時に日輪なんざいらねぇ、俺様の領地を干上がらせる気かっっ。」
元親がそう叫ぶも、毛利はまったく聞く耳を持たない。
「ちっ、しかたがねぇこうなったら・・」
元親が碇を手にしたその時、
「CRAZY STORM!!!」
元親よりも先に政宗の技が炸裂した」
「毛利元就、てめえ俺様をミイラにするつもりかぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
物凄い形相の政宗が大汗を流しながら毛利を睨み付けていた。
「伊達政宗、貴様何故ここに居る?」
政宗の技をかわしつつ毛利が訊ねる。
「そんな事はどうでもいい!!このくそ暑い時に余計なことをするんじゃねえ。」
政宗がもう一度技を構える。
「やめろ、政宗!!俺の領地を吹き飛ばす気かぁぁぁ」
技を出す瞬間元親が叫ぶ。
「DEATH FANG!!!」
政宗はほんの少し技の軌道を修正し毛利を日輪と共に海の彼方に吹き飛ばした。
ミ〜ン・ジジジジジ・ミ〜ンミ〜ンジジジジジジジジ
「暑い、暑いぜ、暑すぎるぜっっ元親!!!!!!」
大滝のような大汗を流しながら政宗が吠える。
「政宗てめぇ、ふざけんなっ、毛利と一緒に雲まで吹き飛ばしたんだ、
暑いに決まってるだろうがっっ、ちったぁ我慢しろ!!」
暑い四国の夏、暑い漢たちが夏の暑さに茹って、尚暑苦しい。
政宗は、南国の夏をある意味満喫したに違いない。
後ろに控える小十郎は、ひっそりとそう思った。
-完-
2008/8/11 ブログ掲載
(2009/12/09--HP掲載 ※数箇所修正)